第十四Chapter 短刀に対する”象り”

     短刀に対する”象り”

  ・心に残る象象りの追求

01・短刀を斬り下す (両羽伏)
02・頸動脈へ斬り込む(入 違)
03・短刀で腹部を刺す(大車輪)
04・短刀を左右に振る(水 葵)

  ・心に残る“象り”の追究

我が国の武芸が武士を中心として室町時代より貴族化し、形式化し
ていくにつれ柔軟化したことは言うまでもないが、室町後期の戦国大
名の勃興を背景として、兵法としての諸流が起こり、次第に戦技的要
素が濃厚となり同時に球道性が重要視されるようになったが?
 だけど、現代の我が国の武芸も新しい時代の中で暗いものがあるか
ら心しなければならない。
 それは、町の中の道路で、やたらにサバイバルナイフを振り回す無
頼な者がいるから、優虜に堪えないものがある。そのようだから、悪
を認識する気をもっと鋭くしなければならない。
 本編は短刀に対する“象り”であるが、いくら繊細に“象る”も、相手
は短刀だから、失敗すれば心が大きく失墜し、生命も危ない。
だから短刀をよけている間は、まだ、心が停まっている、これからは
短刀の道を開けてやる、そのために、日々の“象り”の稽古に励むこと
が大事だ。
 ゆえに、私は“やわら”と言う記号を、挑戦の合言葉に見てくれる人
の心に、残るような“象り”を追い求めている。それによって“やわら”
への理解が深まり、巷に優しい心が、柔らかく広がったりすればいい
と思う。
 我々の新しい現今の時代に、人間と“やわら”について平板な理解で
済ましてはだめだ。これからは、一般の人々の心に“やわら”として覚
醒し隠れていたもの“玄”のエネルギーを感じ取り、希望に輝く星をは
かに仰ぐ深い心の時代である。
 古の室町時代を鑑み、新しい時代に備え現代の通念を乗り越え、
“やわら”と人生の意味を改めて捉え直さなくてはならない!
 これが真の武士(もののふ)ジャパンだ!

   01・短刀を斬り下す (両羽伏)YouTube


捕方あ自然体で立ち受方は短刀を持って構える
(一図)(受方)右手に短刀を持ち振り上げながら右足を進め捕方の
        頸動脈へ振り下す、
(二図)(捕方)其の瞬間、左足を踏み込み両手を矢筈にして受方の
        右腕の下から押さえ


(三図)二之歩で捌きながら受方の右手の下から右手を差し込み同時
    に受方の後首に当て
(四図)左足を開きながら左手を受方の左肩へ伸ばし
(五図)右足を左足の後へ退きながら左手を受方の肩から手首まで摺
    り下げ


(六図)左足を受方の左足の後に開き同時に我が左手で受方の左手
    を外側から掬いながら
(七図)受方の左腕を抱えながら左肩に当て
(八図)左足を受方の右足の内側へ踏み込み同時に受方の後首と両腕
    を極る。

    ・頸動脈へ斬り込む(入 違)YouTube


(一図)(受方)右手に短刀を持ち振り上げながら右足を進め捕方の
        頸動脈へ振り下す、
(二図)(捕方)其の瞬間、二之歩で捌き同時に体を沈めながら右小
        手で受方の右手の下から廻し上げそれから受方の右
        手を右側へ流し下し


(三図)右手で受方の右手を取りながら左足を開き同時に受方の右腕
    の上へ左手を当て
(四図)右手を受方の右腕の下から差し入れ受方の後首に当て
(五図)受方の首を引きながら右足を左足の後へ退き同時に受方の右
    手を下方に伸ばし


(六図)左足を自然体に戻しながら受方の後首を圧し我が前下に投げ

(七図)受方の右手を左手に持ち替えながら左足の内側に右足寄せ同
    時に
(八図)右手を受方の上腕に当てて圧し


(九図) 左足を横へ開きながら
(十図) 受方の右手を圧して伸ばし受方を伏向きにしながら
(十一図)受方の右腕を地に付け


(十二図)左手で受方の右手を腰の方から廻し上げ
(十三図)左手に受方の右手を持ち替え
(十四図)右足を受方の左首横(左肩口の下)へ右足を差し込み受方
     の右手を極む。

 ・短刀で腹部を刺す(大車輪)Daisyarinn YouTube


(一図)(受方)右手に短刀を持ち右腰に構えながら右足を進め捕方
        の腹部を刺す、
(二図)(捕方)其の瞬間、二之歩で捌きながら左手を受方の右手へ
        上かか廻し下し受方の右手を取り


(三図)受方の右手を前方へ大きく廻し上げ
(四図)左足を右足の横へ体を回転させながら下し同時に受方の右手
    も右側に捻れる   
(五図)受方の右足の前に我が右足を開き


(六図)受方の右手を我が前下に圧して投げ
(七図)次に我が左手の下から受方の右手を我が右手で持ち替え
(八図)右足を左足の後へ退きながら受方の右耳を左手で挟む
     (図のように人差し指の第二関節と中指の第二関節


(九図) 次に左膝を地に付きながら受方の耳を内側に捻りながら親
     指先を受方の耳の下の独古へ差し込み
(十図) 受方の右腕を我が左股に乗せ地に向けて圧し(図のように
     耳を捻って親指を独古を押し圧する)
(十一図)右足の後へ右足を退きながら受方の右手を地に向けて引き


(十二図)左膝を捻りながら受方を伏向きに回転させて右足を退き
(十三図)受方の右手を地に向けて押さえ込み
(十四図)左膝を受方の清冷淵に乗せ受方の腕を極む。

  ・短刀を左右に振る(水 葵)Mizuaoi YouTube


(一図)(受方)右手に短刀を持ち右足を進め捕方の前で左右に振る
(二図)(捕方)其の時我は受方の右手の振り方を見る


(三図)我が左側に短刀が来た瞬間、右足を左足をの前に踏み込みな
    がら左手で受方の右手の動きを封じ
(四図)右足を踏み込みながら右肘関節を受方の左肩に当て
(五図)右足を進め


(六図)左足を踏み込みながら受方を倒し受方の右手を両手でささえ
(七図)右足を左足の後へ退きながら受方の右手を我が右手に持ち替
    え
(八図)左足を受方の肩先に踏み入れ受方の右手の肘を我が左膝下に
    当て


(九図) 右足を後へ退きながら受方を起こし右手を左脛に当て極め
(十図) 更に右足を後へ退き回しながら受方の右手を我が右足の前
     下に引き
(十一図)受方の右手を地に付け我が左膝を清冷淵に当て受方を極む

 

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