第十六Chapter ”歩 舞”

        ”歩 舞”

  ・歩 舞
01・紅葉返 Momijikaesi
02・引 立 Hikitate
03・銀杏返 Ityougaesi
04・山 嵐 Yamaarasi

   ・“最強”などない!
 第五Chapterで“点・線・面”で、点は線に勝ち、線は面に勝ち、面
は点に勝つ、ジャンケンのような関係、と述べた。
 点・線・面に限らず、当流の“やわら”の象りはジャンケンの返し技
が存在する。だから“最強”などは存在しない。
 そもそも、“最強”など求めても仕方ないのではないか、そう思い始
めたところから、私の“やわら”追究は始まったような気もするのだ。
そして、だからこそ今のこの、“やわら”にたどり着けたような気もす
るのだ。
前項で触れたように、柔道で応用したら、あらゆる技が返せて、“最
強”かと言うと、そんなこともない。
現代柔道を凌駕し得たなどと訴えるつもりはない。その代わり、何に
でも応用がきき100版に通じる。
スポーツ、日常生活、仕事、生き方、さまざまな事においてもきっと
そうだろうと思う。
大事なのは自らが“最強”なる形を為すことではない。その場その場で
相手によって為すべき景色を感得し“象れ”るかどうかだ。
刀も研ぎ過ぎればもろくなる。相手を力ずくしで倒そうとすればする
ほど硬くなる、と言うのが“やわら”の理だ。
 ”象り”が行き着くべくして行き着いたのが、“やわら”なのではないだ
ろうか?
あるいは“やわら”であるべきなのではないだろうか?
 そんな風にも思うのだ。

     ・”歩 舞” Hotupu

ボクシングは互いに打ち合うが“やわら”では打ち合うことはない。
では、どのようにしたらいいか?
“やわら”は一対一、または、複数の人と対決することもある。
その流れの”象り”は、正確な判断を下さなければならない。
そこに、その解決のための“歩舞”がある
それを使って象れば複雑な場面も、いつもの稽古の積重ねで培ったこ
とが無意識に浮かび上がって相手を象っている。この歩舞の”象り”で
すべての”景色”を舞うことが出来る。

    ・歩舞~紅葉返 Momijigaesi  YouTube

 

(一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の顔面を突く、
(二図)(捕方)其の瞬間、体を左側に揺らぎながら右足を浮かし同
        時に右背手で受方の右手の外側から優しく廻し当て

 

(三図)右足を地に付け受方の右手を左手で受方の内側から当て
(四図)廻し下しながら左足を地に下し
(五図)左足の後に右足を退きながら右手で受方の右手を掬い


(六図)左足を受方の右側に踏み出しながら受方の右手を受方の右肩
    口に送り(この時受方の右手を我が左手の親指を受方の手甲
    の右小指の第三関節に当て後の四指は掌をつまむ)
(七図)その親指の上に右手掌を重ねながら右足を進め
(八図)左足を踏み出して受方を倒す(受方の右手を圧しない)


     ・歩舞~引 立 Hikitate YouTube


(一図)(受方)右足を踏み込みながら右手で捕方の顔面を突く、
(二図)(捕方)其の瞬間、体を右側に揺らぎながら左足を浮かし同
        時に左背手で受方の右手の内側から優しく廻し当て
(三図)左足を地に付き我が右手で受方の右手を外側から当て 


(四図)左足の後に右足を退き下ろしながら右手で受方の右手を下し
(五図)左足を開きながら受方の右手を高く上げ同時に受方の右肩に
    我が左脇下を乗せ
(六図)左足の後に右足を退きながら左手で受方の右手を抱え


(七図)左足を進めながら受方の右肘関節に左手を当て
(八図)右足を進め八重垣のように
(九図)左足を踏み込み受方を倒す。

     ・歩舞~銀杏返 Ityogaesi YouTube


(一図)(受方)右足を踏み込みながら捕方の顔面を突く、
    (捕方)其の瞬間、右足を浮かし体を左に揺らし捌きながら
        右手で受方の右拳に背手で触れ
(二図)    右足を地を下し体を右に揺らぎながら受方の右手の
        下から左手で廻し上げ
(三図)    右足を左足の後へ退きながら受方の右手を廻し下し


(四図)左足を進めながら受方の右手を捻り起こし我が右手の四指で
    受方の右親指を逆で取り同時に我が親指を受方の手甲の小指
    の第三関節に当て
(五図)右足を進めながら受方に当てた背手の小指の第三関節に当て
    た親指に我が右手掌を当て
(六図)左足を進めながら受方の右手を圧し我が前下に倒す。

    ・歩舞~山 嵐 Yamaarasi YouTube

 

(一図)(受方)右足を踏み込みながら捕方の顔面を突く、
(二図)(捕方)其の瞬間、右足を浮かし体を左に揺らし捌きながら
        右手で受方の右拳に背手で触れ


(三図)体を右に揺らぎながら受方の右手の下から左手で廻し上げ右
    足を右側に開き地を下し
(四図)受方の右手を左側に廻し下しながら
(五図)右手で取り


(六図)左足を受方の左足の横へ踏み込み同時に左手で受方の左小手
    を当
(七図)受方の左側で体を捻りながら左右の足を前に向け同時に受方
    の右手を我が左肩に担ぐようにして潜り
(八図)右足を後へ退きながら膝を地に付けて受方を前下に投げる。
    (左手を受方の右肘を抑えて受方を極む)                   

                                    

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