第九Chapter 象りのプロセス

     象りのプロセス

01・ “象り”に勝る奥義なし
02・夕 月 Yuuduki
03・みさご Misago
04・千尋+響波 Tihiro+Yuranami
05・落 日 Rakujitu
06・紅葉掬 Momijisukui
07・紅葉捻 Momijihineri
08・紅葉投 Momijinage
09・小立伐 Kodatigiri
10・日 輪 Nitirinn

     ・“象り”に勝る奥義なし

 本章Chapterからいよいよ、実際的な“象り”をご紹介したい。
 本Chapterはまず“掴まれる”ところから始まる景色だ。掴みに対する
“象り” は稽古としては比較的安全に始め、進められるが、非常な難し
さも秘めていると言えるだろう。
掴みにきている以上、相手はいわば(力)勝負にきている。
それに対して、(力)を使わないことを旨とする“象り”で何とかする
ことができるだろうか? 
……と言うところがまず直面する壁になるそしてここをクリアできれ
ば“やわら”の本質は掴めていると言う、いわゆる最基本にして最極意
だ。もちろん「誰でも勝ちたい」その心でもなくただその時の景色を
“象る”だけのことだ。ここまで述べてきた各編の必要なファクターを
用いればクリアができる。
 第三Chapterでは“反作用”を解説した。 
(力)を出せば、必ず同じ大きさの(力)が当事者に返ることになる
と言う原理だ。つまり、(力)を出してきた相手の方が、自らを崩す
危険に直面している、と言うことだ。こちらは対抗して(力)を出そ
うとする愚を働きさえしなければいい。
 第四Chapterでは“波心”を解説した。
相手を動かすのは直接的な(力)ばかりではない、同調周波による“共
振”も有力な方法となる。
 第五Chapter では“点・線・面”と題して。
相手との接点を操作することによる妙をご紹介した。これも相手の(力)のぶつかり状態を作らないための、優れた方策だ。
 第七Chapter では“歩六法”(足捌)と題して当流の「二之歩」を中心
に歩法から“象り”を為すに至る流れをご紹介した。勿論、“象り”が奥
義ならば、“歩六法”は極意である、と言うことは全身どこにも歪みも
なく正しく歩くと言うことは、全身の関節が交互に捻られることによ
って体内のエネルギーが練り上げられ、方所を制することが出来る。
そして、本当に大事な一瞬を決するのは、ほんの一歩、二歩だ。
ただし、本当に研ぎ澄まされた一歩、二歩をもっていたら、(力)な
どまるで怖くなくなるはずだ。そして、目に見えないが確かに存在す
る、人間対人間の制し合いの一瞬を支配する“玄”を説明するものだ。
その“玄”はブラックホールのように円を描いている。(千尋)
ここがつかめれば、不思議なように見えるものも不思議でなくなる。

        ・夕 月 Yuuzuki YouTube

(一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の左手を取って引く、
(二図)(捕方)其の瞬間、小胸筋を緩め核で千尋を描きながら肘
        を捻り受方の右手の内側から掌を上に向けて丸く
        廻し上げ

(三図)大きく円を描きながら左足を浮かし
(四図)少し斜め後に開きながら踏み出し同時に右手を受方の左肩
    に当て
(五図)受方の右手を圧しながら受方を倒す。

       ・みさご Misago YouTube

(一図)(受方)右足を進めながら右手で捕方の左手を取って引く
(二図)(捕方)其の瞬間、核で千尋を描きながら右足を左足の後
            へ退き


(三図)同時に左手を受方の右側に振りながら左足を受方の右横へ進
    め
(四図)右手を左腕に当て(この時左手首に右手を添えない)ながら
    右足を斜めに進み
(五図)左足を進めながら受方を倒す。
(参考)受方右手を放したとき左手を回転させて受方の右手を取り我
    が右手で左腕を圧する事。

  ・千 尋(響 波)Tihiro+Yuranami YouTube


(一図)(受方)右足を進めながら右手で捕方の左手を取って引く
(二図)(捕方)其の瞬間、核で千尋を描きながら肘で受方の右手
        の外側から廻しながら右足を左足の後へ退き


(三図)左足を受方の右側へ踏み出しながら受方の右手も送り同時に
    我が右手を受方の左肩に当て(メビウス)
(四図)右足を進め(竹符)
(五図)左足を踏み込みながら受方を倒す。

      ・落 日 Rakujitu YouTube


(一図)(受方)右足を進めながら左手で捕方の左手を下から取る
(二図)(捕方)其の瞬間、内側から千尋を描きながら受方の体を
        崩し


(三図)左肘を捻りながら受方の右手首に当てて圧し
(四図)そのまま受方の右手を我が左肘を伸ばしながら両膝を屈して
    我が左横に受方の右手を圧して投げる。

     ・紅葉掬 Momijisukui YouTube 


(一図)(受方)右足を進めながら右手で捕方の左手を取って引く
    (捕方)其の瞬間、受方の左手の内側から千尋を描きながら
        水平に廻し
(二図)    右足を左足の後へ退きながら受方の右手に左手を返
        し
(三図)    右手を受方の左肩に当てながら右足を進め

(四図)受方の左肩に当て右手の小指で肩を少し引き(メビウス)
(五図)右膝を屈しながら(竹符)受方の体を圧し
(六図)受方の右肩を優しく右手で押し同時に受方の右手を左手で掬
    い上げながら左足を進め我が前下に倒す。

    ・紅葉捻  Momijihineri YouTube

(一図)(受方)右足を進めながら右手で捕方の左手を掴んで引く
    (捕方)其の瞬間、千尋を描きながら左手を受方の右手の
        内側から掌を上に向けて振り上げ
(二図)    円を描きながら受方の右手を下方に圧し
(三図)    右足を左足の後へ退きながら受方の右手を受方の
        左側へ送り

(四図)右手で受方の右手を受け取りながら受方の右側に左足を進
    め
(五図)受方の右手を我が右手の親指と四指で挟んで捻りながら受
    方の右肩口に送り
(六図)右足、左足と進めながら受方の右手首を圧して倒す。

     ・紅葉投 Momijinage YouTube

(一図)(受方)右足を進め捕方の左手を掴んで引く
    (捕方)其の瞬間、千尋を描きながら左手掌を上に向
        け
(二図)    左足の後に右足を退きながら受方の右小手に
        左掌を優しく当てて下方へ廻し下し
(三図)    受方の右手を受方の左側へ送り右手で掬い

 

(四図)体を捻りながら左足を右足の横へ踏み込み受方の右手を我
    が右手で掬いながら左手で受方の甲側の第三関節に左手の
    親指を当て(後の四指は小指側を掴む)
(五図)右足を開きながらその左手の親指に右手を添え
(六図)掌で包むように圧して我が前下に受方を投げる。

    ・木立伐 Kodatigiri YouTube 

(一図)(受方)右足を進めながら右手で捕方の左手を取って
             引く
    (捕方)其の瞬間、核で千早を描きながら肘で受方の
        右手の外側から振り廻し
(二図)    右足を左足の後へ退きながら
(三図)    右手で受方の右手を取り左足を受方の横へ開
        きながら左手を受方の右手の下より差し入れ

(四図)右胸前へ伸ばしながら右足を左足の後へ退き
(五図)右足を左足の内側へ直し同時に左手を受方の胸前へから
    水平に我が前へ廻し伸ばし
(六図)枝垂れながら受方の上腕に我が上腕を当て左肩で受方の
    右腕を圧し同時に右足を後に退き受方を投げ落とす。

     ・日 輪 Nitirinn YouTube


(一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の左手を取って引く
(二図)(捕方)其の瞬間、脊椎を緩め核で千尋を描きながら肘を
        捻り受方の右手の内側から掌を上に向けて丸く廻
        し上げ
(三図)    肘を伸ばして受方の右手を下方に圧しながら


(四図)受方の左側に送り
(五図)左足を浮かしながら左手を捻り受方の右手を上方へ廻し上
    げ
(六図)我が左側に送り同時に左足を横に開きながら下し


(七図)右手で受方の左肩を当て圧しながら
(八図)左手を捻って受方の右手を取り左下方に圧して
(九図)我が左方へ受方を投げ落とす。

                        次へ続く