第十Chapter  掴まれる直前の"象り”

     掴まれる直前の”象り”

01・取りに来た瞬間
02・片肘衣を取らんとする(谷 落)Taniotosi
03・両肘衣を取らんとする(浦 舟)Taikyokunage
04・両肘衣を取らんとする(手 楯)Tedate
05・胸襟を取らんとする (八重垣)Yaegaki
06・胸襟を取らんとする (水 簾)Suirenn
07・両肘衣を取らんとする(矢筈巡) Yahazumeguri
08・両腕に触れた瞬間  (響 投)Yuranage
09・両腕に触れた瞬間  (太極投)Taikyokunage
10・両腕に触れた瞬間  (辰巳投)Tatuminage

   ・取りに来た瞬間
 ここからは、拳の突き、手を取りに来る、衣服を取りに来た瞬間
まさにその取られる直前を返す“象り”をご紹介する。
実践においては非常に有効な象候群だ。
いわば相手の動きがまだ“形”をなす前を“象る”訳で、それゆえに瞬
時に決してしまうものが多くなる。相手が何をしようとしているの
か、瞬時に判断することになりそうだが、その判断は思考よりも
“象り”によって持たされる。
だから慌てる必要はない。しかも、動いているものは軽い、しかし
相手のわずかな初期挙動でも、“象る”ことができれば、その最終形
がとらえられているのと一緒なのだ。
これが出来れば、次編で取り上げる、打撃への対処もできる前提が
出来ていることになる。
武芸には、それが柔術だろうが、打撃術であろうが、この瞬間的な
“スピード感”はどうしても必要になる。
しかしこの“スピード感”は、必ずしも動体視力や反射神経によって
のみもたされるものではないと言うことを、強く心得てほしい。
また、相対したときは、必ず脊椎の(力)を抜き緩めることを肝に
銘じることだ。
 さらに、早くもなく、遅くもなく、普通の平常心のこと。

 ・肘衣を取らんとする(谷 落))Taniotosi YouTube

                                                 (一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の肘衣を取らんとする、
    (捕方)其の瞬間、千尋を描きながら右足を横へ開き同時に
        体を捌き同時に受方の右手を優しく取り
(二図)    早や左手で受方の右手を廻しながら左足を右足の前
        に踏み込み同時に受方の右手を我が右側に引き
(三図)    右足を左足の内側に開き受方を引き倒す。
        参考 片手を取らんとするも象りは同じ。        

 ・両肘衣を取らんとする~浦 舟 Urafune YouTube


(一図)    双方自然体で相対する
(二図)(受方)右足を進め両手で捕方の両肘衣を取らんとする、
    (捕方)其の瞬間、千尋を描きながら右足を半歩退き同時に
        受方の両手の間から左手を上げ左手の外側から右手
        を上げ
(三図)    右足を左足の前に踏み込み同時に我が両手で受方の
        両手に当てながら


(四図)左足を右足の内側に開き右手で受方の左手を下方へ圧し同時
    に左手で受方の右手掬い上げ
(五図)受方の左手を受方の右側下方へ引き同時に受方の右手を受方
    の背中へ大きく廻し上げながら
(六図)受方を我が前下に投げる。

 ・両肘衣を取らん(手 楯)Taikyokunage YouTube


(一図)(受方)右足を進めて両手で捕方の両肘衣を取らんとする、
(二図)(捕方)其の瞬間、玄で千尋を描きながら右手を縦にそろり
        と振り上げ同時に右足を踏み出し
(三図)    右手先を受方の胸尖触れながら掌にして当て


(四図)左手を受方の右肘へ下から当て同時に右手を受方の左腕の
    上から当て
(五図)受方の右手を上方へ圧し右手で受方の左手を下方へ滑らし
    ながら
(六図)我が右側に投げる。

  ・胸襟を取らんと(八重垣)Yaegaki YouTube

 

(一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の胸襟を取らんとする、
    (捕方)其の瞬間、右手を右横から受方の右手首に矢筈で当
        て  
(二図)    二之歩で捌ながら我が左側から受方の右手を大きく
        廻し下し
(三図)    受方の右手を持ち替えながら左足を受方の右側へ踏
        み出し

 

(四図)同時に受方の右手を受方の右肩先へ上げ
(五図)右足を進めながら受方の右手首を圧し
(六図)左足を踏み出し我が前下に倒す。

・右手で胸襟を取らんと(水 簾)Suirenn YouTube


(一図)(受方)右足を進めて右手で捕方の胸襟を取らんとする、
(二図)(捕方)其の瞬間、左手で受方の右手に優しく当てながら


(三図)左足を斜め前に踏み出し同時に受方の右手の内側から我が右
    手を受方の右腕に当て
(四図)右手を返しながら右足を進め
(五図)左足を進めながら右手を差し込み受方の右手を圧する

・両肘衣を取らんと(矢筈巡)Yahazumeguri YouTube

 

(一図)(受方)右足を進め両手で捕方の両肘衣を取らんとする、
(二図)(捕方)其の瞬間、両千尋を描きながら左手を矢筈で受方の
        右腕馴しに内側から当て
(三図)    左足を進めながら右手を矢筈で受方の左腕馴しに内
        側から図のように当て

 

(四図)右足を左足の後に退きながら受方の右手上方へあげ同時に受
    方の左手を下方へ圧し
(五図)左足を右足の親指のさきに向けながら回転して(180度)
    続いて左足の踵へ右足の先を回転して向け
(六図)左足を平行に直しながら受方を我が前下に投げる。

 

 ・両腕に触れた瞬間(響 投)Yuranage YouTube


(一図)(受方)右足を進めて両手で捕方の両肘を取る、
(二図)(捕方)其の瞬間、玄で千尋を描きながら左手を受方の右手
        の外側から右肘の下から当て同時に右手を受方の左
        手の内側から振り上げ


(三図)左足を踏み出しながら左手を受方の右肘を上方に圧し同に右
    手を受方の左腕の上に掛け 図は三図の裏側、
(四図)左手で受方の右肘を上方へ上げながら受方の左手を下方に圧
    し
(五図)腰をひねって受方を我が右側に投げる。

・両肘に触れた瞬間(太極投)Taikyokunage YouTube


(一図)(受方)右足を進めて両手で捕方の両肘を取る、
(二図)(捕方)其の瞬間、核で千尋を描きながら左手を受方の右手
        の外側から右肘の下から当て同時に右手を受方の左
        手の内側から振り上げながら左足を受方の前に踏み
        出し
(三図)    左手を受方の右手の上に当て同時に右手を受方の左
        手の上に掛けながら右足を少し退き


(四図)左手で受方の右手を上方へ上げ同時に受方の左手を下方に圧
    しながら
(五図)我が右下へ引き同時に受方の左手を受方の背後へ大きく廻し
    上げ
(六図)腰をひねって受方を我が前下に投げる

 ・両腕に触れた瞬間(辰巳投)Tatuminage YouTube


(一図)(受方)両手で捕方の両肘衣を取らんと構え右足を進める
(二図)(捕方)其の瞬間、左手を受方の右外から振り上げ受方の右
        小手に当て
(三図)    左足を踏み出し左手を受方の右小手の内側から受方
        の脇腹の間に差し込み同時に右手を受方の左小手の
        上へ振り上げ


(四図)左肘を捻りながら受方の右手を掬い左足の後へ右足を退き
(五図)左足を右足と平行に直し同時に受方の右手を左肘で捻り上げ
(六図)受方の左手を受方の右下へ掬いながら受方を我が前下に投げ
    る。

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